2006年12月21日

鍛冶道場にて、割込の竹割ナタをつくる

先月、昨年に引き続き鍛冶集団のかたがたのご指導のもと、鍛冶道場にて刃物づくりに参加した。昨年は鋼付の鯵切をつくったが、今年は割込の竹割ナタ。今までナタづくりの仕事も見たことがなかったので、ナタの割込はどのようにつくるのか全く知らない状態からの体験となった。

まず、土台となる生地の鉄を形作り。鉄を真っ赤に熱して、タガネやハンマーなどで成形していく。割込部分はどうやるのかと思ったら、タガネとハンマーで少しずつ真ん中に溝を掘っていく。この溝がきちんと真ん中に来るようにしながら、鋼材がある程度入るくらいの溝ができるまで(横から見るとY字型のようになるまで)溝掘りを繰り返す。これができあがると、いよいよ鋼の鍛接へ。

溝部分に鋼材を入れホウ酸などをつけたものを高温のガス炉で熱し、かなりの高温になったところでハンマーで叩いて付ける。このときの鋼付がキチンとできてないと使い物にならなくなるので、「素早く、しっかりする必要がある肝心な部分だよ」と先生よりアドバイスをいただく。ところが前の人を見ているとかなりの高温のため、叩くと火花が派手に飛んでいる。自分の番になりおっかなびっくりやっていたら、後になって鋼がうまく付いていない部分があることが判明。初めから作り直しかと思いきや、先生によるとっておきの裏技のおかげで、無事復活を果たした。

グラインダー・サンダーでナタの形に仕上げていき、サンドブラストをかけ表面をきれいにすると、いよいよ焼入れ焼き戻しへ。

焼入れは水焼きと油焼きの両方が可能。この違いは、熱した後に水で急冷するか油(もちろん冷たい)で冷やすかの違い。去年の鯵切は水焼きだったが、今回のナタは厚みがあるため、水焼きすると割れる恐れがあるという。もちろん割れたら一からやり直し。周りはニヤニヤしながら水焼きを薦めるが、小心者の私は迷わず油焼きを選択。実際には水焼きの方があとあと良いらしい。

自分の番になり、ナタを熱していく。よさそうな温度になると磁石を近付ける。磁石が付くうちはだめで、付かなくなったらOKだ。OKの時にゆっくりしているとナタの温度が変わりおかしくなるので、素早く冷やさなくてはならない。また、刃の部分は均一な温度にする必要がある。もちろん焼きが入ってないところがあってはまずいからだ。今だ、と先生からGOが出て、油で冷やす。(ジューッ)無事に焼入れを終了!

焼き戻しもすませ、刃を研ぎにかかる。ところが、研ぎ始めてすぐに狂いを取っていないことが判明。焼入れ焼き戻しをすると、熱処理前はまっすぐであっても曲がってしまう。この曲がりを「狂い」などという。これをまっすぐ直すのが「狂い取り」。さて、よくよく考えると去年もこの狂いとりはしたハズ。ものの見事に忘れてしまっていた。先生から狂いを取ってもらい、刃を研ぎにかかる。ひたすら研ぐもののなかなかうまくいかず、結局先生に助けてもらった。

先生の力を少し、いやほとんど(?)借りてしまったものの、何とか1日がかりで竹割りナタの完成にこぎつけた。モノを作り上げる、というのはやはりおもしろい。

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2006年07月27日

夏休みキットシリーズ第1弾!

こども望遠鏡

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超カンタン!な手作りでできる望遠鏡のキットです。
この「こども望遠鏡」のキットは、4種類の長さの筒・大小のプラレンズ・レンズ取付け用の紙2枚・A4用紙1枚がセットになっています。

使う道具は、「はさみ」と「セロテープ」があれば作れます!
絵や色を塗って、世界で1つだけのオリジナル望遠鏡を作るのもいいですね。
作り方は、ていねいに取扱説明書の書いてありますので、心配はいりません。

A4用紙を切るところでは、切り分けた2つともに使いますので、うっかり小さいほうを捨てたりしないようにご注意ください。
ピントを合わせるスライド部分は約6〜7cm程度ですが、十分にピントは合います。

出来あがり写真

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この望遠鏡はケプラー式と呼ばれるもので、像はサカサマに映ります。
星を見るにはあまり問題ないかと思いますが、双眼鏡の代わりにはなりません。

取扱説明書には望遠鏡の倍率についての説明もありました。
ふむふむ・・・望遠鏡の倍率は対物レンズの焦点距離を接眼レンズの焦点距離で割れば出てくる・・・と。このキットでは、それぞれの焦点距離を入れて計算すると、220/46=4.78 となり、倍率およそ5倍の望遠鏡が出来るそうです。

この「対物レンズ」と「接眼レンズ」はなんとなく字から想像できそうですが、焦点距離って何だったっけ?とか、どうしてこの望遠鏡はサカサマに映るのか?など、望遠鏡のしくみはなかなか作るだけではわかりませんよね。

しかし、そんなときはYAMACAさまが運営されている、こちらのサイトを見ればスッキリ納得!

 星を見る道具の工房

望遠鏡の基本的な原理がていねいに解説されています。
作り方も「こども望遠鏡」と同じ原理の簡単なものから、超本格派仕様の望遠鏡まで掲載されており、望遠鏡の情報が満載のサイトです。ぜひ一度ご覧になってください。

最後に「星を見る道具の工房」さんのサイト内にある注意書きを掲載いたします。決して事故の無いように、特にお子様と工作する場合は十分にご注意ください。(以下引用部分です。)

<注意>
レンズや望遠鏡を通して絶対に太陽をみないでください。
目を傷め、最悪の場合、失明の危険さえあります。
お子様に工作させる場合には、虫めがねで黒い紙を焦がせて見せ、なぜ危険であるかを説明してあげましょう。
理由もいわずに禁止すると、必ずやってしまうのが子供というものですから。
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2006年06月26日

(株)スリーピークス技研工場を視察

え〜と、たまには道具のことも書かないと(;^_^A ・・・。
というわけで、本日は工場視察です。

先日、3peaksブランドのペンチやニッパーなどの工具を製造している、(株)スリーピークス技研の工場を見学してきました。鍛造から始まる工程は、全部で40〜50ほどになるそうです。その中からいくつかの工程をピックアップしてご紹介します。

鍛造によりできあがったおおよその形状から、頭部を加工していきます。頭部の加工は、自動の機械加工によってできあがっていきます。穴あけや、頭部の成形、刃削りなどの工程を踏み、徐々にペンチ・ニッパー・ラジオペンチのおなじみの形に出来上がっていきます。

形が出来てくると焼入れです。焼入れは2段階で、まず一度は全体に焼入れし、その後に刃部の焼入れをします。刃部の焼入れは、一瞬だけ赤くなる鉄の棒の様なものに、刃部を当てるとすぐに水が出てきて冷却する方法です。この方法は、高周波焼入れといい、刃の部分だけに焼きが入ります。この2段階の焼入れにより、全体はある一定の硬度を持ち、もっとも硬度の要求される刃部にはさらに高い硬度を入れることが可能となるわけです。

その後、表面処理などの工程を経て、最後の仕上げの刃付けでは、なんと一丁一丁手で仕上げをしていました。3Peaks製品は以前から取り扱いしていますが、手仕上げというのはこのとき初めて知りました。(一部手仕上げでない製品もあるそうですが、ほとんどの製品は手仕上だそうです。)これには驚きましたが、やはり最後は機械でなく人の手で仕上げなければ十分な切れ味を得られないという、スリーピークスさんの商品へのこだわりがあります。ものによっては一人が一日に300丁しかできない刃付けもあるそうです。(もちろん、「刃付けの工程」だけで300丁ということです。)出来上がった工具の刃先を見ると焼入れの黒い色がついた刃の先に、手で仕上げた白いあとがきれいについているのが良くわかります。

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見学の後、お土産に名入りのボールペンと、3peaksのステッカー(いつの間に作ったのだろう?)をもらい、お礼を言って帰ってきました。忙しい中どうもありがとうございました。

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商品の取り扱いはしていても、意外とわからないことが多いもので、実際に工場を見学することは大事なことですね。今後もいろいろな工場を見学していきたいと思います。

文中に出てきた、3peaksステッカーですが、欲しい方がもしいましたら差し上げます。ただし、WAI’S TOOLにて、3peaks製品を過去も含めてお買い上げの方に限らせていただきますね。その旨メールでご連絡ください。いない場合は私がいただきます。(^^)
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2006年05月11日

鍛冶道場にてアジ切りを作る

さて、本日は昨年の11月に、鋼付けのアジ切をつくったときの体験を書きました。(半年前の話でゴメンナサイ。)こちらではこのような体験もできるんです。

「鍛冶道場」とは、火造りから始まる三条の伝統的なモノづくりを体験できる設備・機械のある施設で、昨年できたばかりの建物です。昨年の11月、地元の鍛冶屋さんで結成される「鍛冶集団」のかたがたを先生に迎えて、この鍛冶道場にて鋼付のアジ切りをつくりました。

当日は定員オーバーのため、はじめはみんなが作っている様子を眺めているだけの私でしたが、あまりにも作りたそうな顔をしていたらしく、先生から材料を分けてもらって急きょ参加できることになりました!

今まで鍛冶仕事を見たことはありますが、見ると作るとでは大違い。また、作ることを前提には見ていないので、今まではいかにあやふやに見ていたかと、痛感しました。

ひとつの工程を終えるたびに先生にチェックしてもらい、OKがでなければ前に進めず、あまりに出来が悪いと、見かねて先生がサクッサクッと直してくれます。(先生の仕事を見ていると、ものすごくカンタンそうに見えるのはナゼでしょう?)

道中、だいぶ(というよりほとんど)先生に直してもらい、ようやく完成しましたが、不思議なことにその工程は良く覚えています。工程の名前は忘れたものもありますが、どのようにやったかはだいたい順番通りに覚えています。もう一度やれといわれれば、技術的にはうまくできるかわかりませんが、およその工程を頭の中でイメージすることはできます。体験することと、見ること、さらに聞くことは全て違うものだとつくづく思った一日でした。
posted by 管理人 at 18:54| Comment(0) | TrackBack(0) | モノを作る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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