まず、土台となる生地の鉄を形作り。鉄を真っ赤に熱して、タガネやハンマーなどで成形していく。割込部分はどうやるのかと思ったら、タガネとハンマーで少しずつ真ん中に溝を掘っていく。この溝がきちんと真ん中に来るようにしながら、鋼材がある程度入るくらいの溝ができるまで(横から見るとY字型のようになるまで)溝掘りを繰り返す。これができあがると、いよいよ鋼の鍛接へ。
溝部分に鋼材を入れホウ酸などをつけたものを高温のガス炉で熱し、かなりの高温になったところでハンマーで叩いて付ける。このときの鋼付がキチンとできてないと使い物にならなくなるので、「素早く、しっかりする必要がある肝心な部分だよ」と先生よりアドバイスをいただく。ところが前の人を見ているとかなりの高温のため、叩くと火花が派手に飛んでいる。自分の番になりおっかなびっくりやっていたら、後になって鋼がうまく付いていない部分があることが判明。初めから作り直しかと思いきや、先生によるとっておきの裏技のおかげで、無事復活を果たした。
グラインダー・サンダーでナタの形に仕上げていき、サンドブラストをかけ表面をきれいにすると、いよいよ焼入れ焼き戻しへ。
焼入れは水焼きと油焼きの両方が可能。この違いは、熱した後に水で急冷するか油(もちろん冷たい)で冷やすかの違い。去年の鯵切は水焼きだったが、今回のナタは厚みがあるため、水焼きすると割れる恐れがあるという。もちろん割れたら一からやり直し。周りはニヤニヤしながら水焼きを薦めるが、小心者の私は迷わず油焼きを選択。実際には水焼きの方があとあと良いらしい。
自分の番になり、ナタを熱していく。よさそうな温度になると磁石を近付ける。磁石が付くうちはだめで、付かなくなったらOKだ。OKの時にゆっくりしているとナタの温度が変わりおかしくなるので、素早く冷やさなくてはならない。また、刃の部分は均一な温度にする必要がある。もちろん焼きが入ってないところがあってはまずいからだ。今だ、と先生からGOが出て、油で冷やす。(ジューッ)無事に焼入れを終了!
焼き戻しもすませ、刃を研ぎにかかる。ところが、研ぎ始めてすぐに狂いを取っていないことが判明。焼入れ焼き戻しをすると、熱処理前はまっすぐであっても曲がってしまう。この曲がりを「狂い」などという。これをまっすぐ直すのが「狂い取り」。さて、よくよく考えると去年もこの狂いとりはしたハズ。ものの見事に忘れてしまっていた。先生から狂いを取ってもらい、刃を研ぎにかかる。ひたすら研ぐもののなかなかうまくいかず、結局先生に助けてもらった。
先生の力を少し、いやほとんど(?)借りてしまったものの、何とか1日がかりで竹割りナタの完成にこぎつけた。モノを作り上げる、というのはやはりおもしろい。
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